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【日本三大怪談】お菊さんの井戸に実際に行ってきた!!【皿屋敷】

今回は少し涼しくなってきた季節ではありますが、「いちまーい、にまーい... 」と井戸で皿を数える場面が有名な怪談話「播州皿屋敷」の題材となったと言われる井戸に実際に行ってきたため紹介していきたいと思います。

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播州皿屋敷とは

この「播州皿屋敷」の内容は次のようになっています。

永正元年(1504年)に姫路城主を継いだ小寺則職(のりもと)はまだ若く、城代であった青山鉄山はこの地の乗っ取りを狙い、近くの増井山(随願寺)で主君を討とうと画策します。しかしこの時、鉄山の息子は父鉄山に対して翻意を促したものの、逆に鉄山の怒りを買う結果となり、父親に幽閉されてしまいます。そしてこの時に幽閉された息子が、以前から親身にしていたお菊に報せを頼む事で、父親の襲撃を食い止めて主君を守ったと言います。
しかしその後、城代の青山鉄山は近隣国とも密通し、援軍を受けてから形勢が一気に逆転。姫路城主の小寺氏は追放され、代わりに鉄山が姫路城主へと成り上がりました。そしてその時の祝宴に使用する家宝の皿を部下がわざと1枚隠し、この罪をお菊へと着せてしまう。それによってお菊は責められてしまい、庭の松に吊るし上げられた後、井戸へと投げ込まれて殺されてしまったと言います。
その夜から、「一枚、二枚・・・九つ、嗚呼悲しや」と、皿を数えるお菊の低い声が館に響き渡るようになります。そして逃げ出した青山鉄山はやがて小寺氏と赤松氏に攻められて自害。小寺家はこの時のお菊の忠義に対し、十二所神社に祀る事で霊魂を鎮めたと言われます。

(参考:姫路城史、播州皿屋敷実録)

最後の「一枚、二枚・・・九つ、嗚呼悲しや」という部分はとても有名でこれだけは聞いたことがあるという人は多いですよね。

この井戸はどこにある?

驚くことに、お菊さんが投げ入れられた井戸は...世界遺産にも登録されている有名な観光地、姫路城内に存在しているんです。なんとなく人気の少ない心霊スポットになっていそうな場所だと思っていただけあって意外でした。実際に私もこういった井戸があるとは知らずに姫路城に観光しに行きました。笑

井戸はかなり大きい上に、深くてなんとなく不気味でした。さらに小銭がかなり投げ込まれていて、今もお菊さんがいるならばお皿ではなく、小銭を数えるのが大変だろうなと思いました。

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 もう一つの【皿屋敷】

実はこの有名な怪談話には、播州姫路が舞台の『播州皿屋敷』、江戸番町が舞台の『番町皿屋敷』があるのです。先ほど紹介して、今回私が行ったのは前者のほうです。江戸が舞台になっているバージョンもあります。

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番町皿屋敷とは

この「番町皿屋敷」の内容は次のようになっています。

お菊は、江戸隅田川に近い下町の、貧しい裏長屋で生まれた。父は彼女が赤子の時に死んだため、母はお菊を育てるために針子や料理屋で懸命に働き続けたという。
物心がつきはじめたお菊は、近所の友達が父親に連れられて浅草の観音参りや、深川八幡の縁日へ行くのをうらやましく思うようになった。なぜ自分の父は死んだのだろう、その理由を聞くと母親は決まって辛い顔になり
「おっとうは運が悪くて、流行り病で死んでしまったのよ。だからもう、おっとうのことを話すのはおよし」
と涙を流すので、そのうち彼女は父について聞くのをやめてしまった。
そんな母は、お菊が16になったころ、風邪をこじらせて手当の甲斐なく死んでしまう。天涯孤独の身の上となり、嘆き悲しむお菊。しかし彼女は貧しいながらも色白で美しく、いくつかの大店からすぐに奉公の話が舞い込んできた。相談する相手もおらず、迷う彼女の前にひとりの桂庵(口入れ屋)が現れ、彼女に別の働き口の話を持ち込んだ。
「このたびのご不幸、心中お察しいたします。ところでお前様もこれからどこかへ働きに行かれるのでしょう? ならば他でもありません。わたしのところに偉い旗本様より、女中を雇いたいという話がちょうど来ております。旗本様ならば立場は安泰、仕事も楽だし、支払いもいい。お金を貯めて、おっかさんの墓を建ててあげるのが、なによりの親孝行になるでしょう」
親孝行、という言葉にお菊の心は決まり、桂庵に連れられてその旗本屋敷のある番町へと向かった。
桂庵に女中の口入れを頼んだのは、青山播磨守主膳。禄高二千石、もと火付盗賊改めという、旗本の中でも高い身分の人物だった。泥棒の多かった江戸時代、火付盗賊改は町奉行に次ぐ大役であるいっぽう、下手人捕縛後の取り調べが厳しく、中には無実の罪で殺される例もあり、恐れる江戸庶民は多かった。
そういった事情に加え、貧乏暮らしだったお菊は青山家の大きな屋敷に当初は戸惑っていた。たしかに主膳は気難しかったが、奥方は優しく、年若く素直なお菊をとても可愛がった。面白くないのは古参の女中たちで、特に骨の折れる仕事をお菊に押し付けた。

青山家で奉公をはじめて一年、17歳になったお菊はさらに美しくなり、懸命に働く彼女をいつしか気に入った主膳も何かにつけ「お菊」「お菊」と申しつけるほどになった。これによって古参女中たちのイジメも悪化し、あることないことを告げ口して奥方を味方に引き入れてしまう。お菊はそういった過酷な仕打ちにも「母の墓を建てるため」と、静かに耐え続けた。
明けて正月、主膳は火付盗賊改時代の部下をまねき、新年会を開いた。その酒席で使われた10枚の皿は、かつて主膳の先祖が徳川家康から拝領した青磁の逸品である。来客らは皿の素晴らしさを口々に褒めたたえ、主膳はいつになく満足げであった。
――が、宴席のあとで皿を洗っていたお菊は、皿が一枚足りなくなっていることに気づいた。何度数えても一枚足りない。血の気を失うお菊の姿に、ほくそ笑んだのは青山の妻と古参の女中たちである。犯人は彼女たちで、お菊を陥れるために皿を一枚砕いて庭の古井戸に捨てておいたのだ。
彼女らの策略など露知らぬお菊が、おそるおそる主膳の前に土下座して、皿が足りないことを報告すると、先ほどまで満悦していた主膳の顔が、みるみる怒りに染まって紅潮した。ことは神君・家康公から賜った伝家の至宝である。それを無くしたのが、いつも可愛がっているお菊というのがなお腹にすえかねた。可愛さ余って憎さ百倍である。
「おのれ、金目の品と知って盗んだな!」
主膳はお菊の必死の弁明など聞く耳もたず、その体を縄でぐるぐる巻きにすると、弓で何度も殴りつけた。どんなに殴られようと、お菊は身に覚えのないことを認められない。首や手足から血が飛び散っても白状しないお菊の強情ぶりに、主膳の怒りはおさまりを知らず、あげく彼女の手足を縛り上げ、右手の中指を切り落とし、狭い女中部屋に放り込んでしまう
「あれほど責めたというのに白状せぬとは、ただの17歳の町娘とは思えぬ」不審を覚えた主膳は、昔の部下を使ってお菊の身の上を調べさせた。そして数日後、明らかになったのは、かつて自分が強盗の罪で打ち首にした「向坂甚内」という男には娘がおり、それがお菊だったということである。
向坂は断罪後に無実と分かったが、それでは具合が悪いので主膳は内々で隠ぺい処理していた。もちろんお菊は自分の父のことなど知らないが、主膳はお菊が我が家に入ったのは親の仇を討つためだと勘ぐった。もし皿を紛失した話が外にもれれば、自分は上様からきついとがめをうけるだろう。それがお菊の狙いなのだ、と。
「よし、こうなればお菊を手打ちにしてしまおう」
主膳の言葉を聞いた古参の女中のひとりが、嬉しそうにお菊のもとへやってきて「明日は主膳さまがお前を手打ちになさるそうだよ」と告げた。 お菊は「こんなひどい主人の手にかかって死ぬぐらいならば、いっそ……」と覚悟を決めて縄を食いちぎり、夜遅くに庭の古井戸へ身を投げた

名もない貧乏娘であるお菊の死は、とりたてて世情をにぎわすこともなく、青山家ですらすぐに忘れてしまった。が、それから五か月後、奥方が出産した男児には、生まれつき右手の中指がなかった。「もしやこれはお菊の霊の仕業では……」と青山家の人々は青ざめた。
するとその夜から、屋根のあたりがミシミシと揺れ動き、
「それそれ、その子の右手の中指が無いのをよく見やれ。人の恨みを知るがよい」
という声が聞こえてくるようになった。やがて、あまりの恐ろしさに奥方は気がふれ、髪を振り乱してわけのわからないことをわめきはじめた。しかもその顔つきは、哀れなお菊の死に顔とよく似ていたのである。
奥方が発狂した次の晩、子の刻(深夜0時)になると庭の古井戸から、青白い人魂とともにお菊の亡霊が現れて
「一枚……二枚……三枚……四枚……五枚……六枚……七枚……八枚……九枚……ひいいいいいいっ!」
と悲鳴をあげた。そしてまた初めから一枚、二枚と数えていく……
「おのれお菊め」気の強い主膳は幽霊を恐れず、大刀を抜いて斬りかかる。絹を引き裂くような悲鳴とともに幽霊は消えたが、代わりに主膳の足元には袈裟切りにされた妻の死体が転がっていた。この一件で、お菊の怨念の恐ろしさが身に染みた主膳は、小石川伝通院の高僧・了誉上人を招き、古井戸の前で供養してもらったが、怨霊の仕業と思われる怪事がおさまることはなかった。
やがてこの噂は江戸じゅうにひろまり、ついに徳川将軍家の耳に入ると、青山家は取り潰しとなり、主膳は親族の家中へお預けの身となったという。

 長いですね。共通点としては、お菊さんが濡れ衣を着せられてしまうことと、最後は井戸から皿を数える声が聞こえてくるというところで大筋は似ています。

まとめ

小さい頃、祖母から「一枚……二枚……三枚……四枚……五枚……六枚……七枚……八枚……九枚……ひいいいいいいっ!一枚足りなあぁぁぁいっ!!」という話を聞いた記憶が今でも強く残っています。笑

今になってよく話を調べてみると、お菊さんあまりにも不憫だと思いました...

これは幽霊になって仕方がないなと。